債権回収(金銭を支払って欲しいとき)

債権者側の視点に立って書いていますが、債務者の方も是非読んでおいて下さい。内容証明郵便は債権回収の際に時効を中断させるのにも用いられます。内容証明郵便で支払を求めることは催告と呼ばれ、時効の完成を妨げる手段となります。この場合の効果は6ヶ月間で、その後時効を中断させるためには裁判上の請求手続に移行する必要があります。

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時効について

その完成により権利を得る時効を取得時効、失う時効を消滅時効と呼びます。取得時効により所有権を得たり、消滅時効により債権を失ったりします。時効は当事者の主張によって完成することになります。この主張を時効の援用と呼びますが、正確に言えば、当事者が時効を援用しない限り裁判所は時効という事実を基に裁判を行うことが出来ないことになっているのです (民法145条)。時効の中断とは時効の完成を妨げることですが、これは一時中断ということではなく、これまでの期間は全く無駄になってしまいます。例えば商売での売掛金の場合は2年で時効が完成する債権となりますが、ちょうど1年経過したところで時効が中断すると振り出しに戻り、時効の完成まであと2年かかることになります。時効が中断するには以下の3つの事由が有ります。

一つ目の請求というのは誤解されがちですが、これは条文上の言葉で一般的な意味での請求ではありません。先程の売掛代金債権の場合ですと時効にかかる前に2年に一度内容証明で請求書を送ればいいということではありません。債権者としては、時効完成間際に内容証明郵便で支払を催告した後6ヵ月以内に裁判上の請求を行わなければなりません (153条)。
二つ目は、差押等によって債権の目的が達せられた場合債権が消滅するということです。回収した訳ですから債権も消えます。
三つ目はなかなか使えます。相手 (債務者)が債務を承認すると時効は中断されます。つまり時効のカウントは振り出しに戻るのです。こちらが内容証明で「500万円支払え」とやると、相手が (不思議と)内容証明郵便で「債務は400万のはずだ」と返してくることがあります。これで債務残高を自ら認めたわけですから承認となり、時効は中断されますから400万円の債権をじっくり回収できます。支払督促、差押など手段を講じることが出来ます。自分が債務者であるときには気を付けなければなりません。

時効に関しては議論があり、今後変更される可能性も大きい。(→ 日弁連速報 NICHIBENREN NEWS 通算No.159 2009-02-24 など)

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2003-06-12 このページの初出

WSFE190111204718

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